糖尿病の治療ではどちらの食事療法を選ぶ?「エネルギーコントロール」それとも「緩やかな糖質制限」?〜エネルギーコントロール編〜

管理栄養士/日本糖尿病療養指導士の高橋美知代です。

前回は、糖尿病専門クリニックである当院で実施している「エネルギーコントロール」と「緩やかな糖質制限」の2種類の食事療法について簡単にご説明しました。

(参考:糖尿病の治療ではどちらの食事療法を選ぶ?「エネルギーコントロール」それとも「緩やかな糖質制限」?)

 

エネルギーコントロールは、ご飯、パンそして麺などの主食(糖質の多く含まれる食物)が好きな人に向いています。

緩やかな糖質制限はその逆で、上記のような食物にそこまで執着のない人に向いています。

 

本日は、当クリニックで実施している「エネルギーコントロール」での食事療法について紹介したいと思います。

 

エネルギーコントロールは、主治医の設定した摂取エネルギー量をもとに、バランス良くエネルギーを分配していきます。

摂取エネルギーのうち50~60%を炭水化物、20%以下をたんぱく質、残りを脂質(25%以上の場合は植物性油脂の割合を多くする)でとるようにします。

 

そんなこと言われても、何をどのくらい食べたらいいのか全くわからないですよね。

 

そこで、このような疑問を解決するために「糖尿病食事療法のための食品交換表 」というものが存在します。

 

糖尿病食事療法の基本は、それを用いて実施するのですが、
私の場合、それを実際に媒体として用いて食事療法は行なっていません(もちろん、こちらを使って食事療法をやりたい!という人には用います)。

 

「以前通っていた病院の時は、最初のうちは食品交換表を使って頑張っていたんだけど、だんだん面倒くさくなっちゃって…」というような声や、「食品交換表の使い方を教えてもらったけど理解しにくくて…」というような声を患者さんからよく耳にします。

 

そこで私の栄養相談では、糖尿病食事療法のための食品交換表の「考え方」をベースにして、主食、たんぱく源、野菜、油脂類、乳製品、果物、そして調味料などの適量を簡単に理解できるように説明していきます。

設定されるエネルギー量は、標準体重(BMI22 kg/m²)と身体活動量から計算します(BMI=体重kg÷身長m²)。上記の表はあくまでも参考程度ですが、デスクワークなど座って仕事をしていることが多い軽労作の人向けに作成してあります。

 

★食事療法の基本は、主食(ご飯、パン、麺類など)、たんぱく源(肉、魚、卵、大豆製品、チーズなど)、そして野菜の3点セットを毎食そろえ、野菜→たんぱく源→主食の順に食べることです。

 

★主食量はエネルギー量に応じて決めていきます。適量は上記の表を参考にしてください。

ご飯は表の量±20gの範囲であれば宜しいかと思います。

ちなみに、上記の表は炭水化物エネルギー比55%のバランスをベースにしています。

 

★たんぱく源は自分の手のひらサイズで厚さ1㎝くらいが目安になります。

重量にすると、目安は標準体重の数値と同じくらいです。(例:身長165㎝、標準体重約60㎏ → 肉60gくらい)

時々なら150gなどのステーキも食べても良いかと…。

お肉はなるべく脂身の少ないものを選ぶようにします。

脂身が多いと血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が上昇しやすくなります。

魚はDHAやEPAなどn-3系多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれている青魚を積極的にとって欲しいです。

ただし、油が多く含まれているので食べ過ぎはエネルギー摂取過多に繋がるので注意が必要です。

 

★野菜は生なら両手いっぱい、お浸しなどギュッとなっている状態なら片手にこんもり乗るくらいが目安になります(1食あたり120gが目安)。

★油脂類の適量は上記の表を参考にして下さい。

サラダにかけたり、炒め油に使ったりと毎食少しずつとって頂いてもいいですし、揚げ物1食分でとって頂いてもいいです(油、バター、マーガリン、マヨネーズ、クリームチーズも含みます)。

また、ナッツ類15g、アボカド40g、バラ肉20gは油大さじ1弱に相当するので、これらを食べる際には料理で使う油の量を減らして下さい。

 

★牛乳やヨーグルトなどの乳製品は、200〜300ml(g)を目安にするといいです。

食事の中でとって頂いてもいいですし、間食でとって頂いてもいいです。

骨を丈夫にするためにもカルシウムをしっかりとりたいものです。

低脂肪や無脂肪タイプの加工乳やヨーグルトなら300ml(g)、普通の牛乳や全脂タイプのヨーグルトなら200ml(g)くらいが適量です。

 

★果物は1日150〜200g(バナナは100g)とし、1日2回に分けると良いです。

特に、朝食と昼食の食後のデザートとしてとって頂けると良いです。

果物はビタミンやミネラルが豊富でたくさんとった方がいいと思われがちですが、食べ過ぎれば血糖値や中性脂肪が上昇しやすくなるので上記のような量や食べ方がオススメです。

 

★味噌や砂糖などの調味料は使いすぎに注意したいものです。

塩分摂取量を控えるためにも、汁物は1日1回くらいにするのが望ましいです。

味噌汁の味噌は一人分大さじ1/2くらいが適量です(汁150mlに対して)。

濃いめが好きな人は、味噌の量はそのままにして水を減らすと良いです。

野菜やきのこなどたっぷり入れて具だくさん味噌汁にすれば汁が少なくても気にならないと思います。

 

砂糖は糖質ですので、とり過ぎれば血糖値が上昇しやすいです。

1日10g以下には抑えたいものです。

どうしても甘さが欲しいという人は、ラカントを使用するのもいいと思います。

砂糖と同じ量で同じ甘さになり、使いやすい甘味料です。

〜まとめ〜

・主食(量は表を参考)、たんぱく源(手のひらサイズ厚さ1cm)、野菜(生なら両手いっぱい、お浸しなら片手にこんもり乗るくらい)の3点セット

・野菜→たんぱく源→主食の順に食べる

・油脂類は適宜使用(量は表を参考)

・牛乳やヨーグルトは200〜300ml(g)を食事や間食でとる

・果物は150〜200g(バナナは100g)を1日2回にわけて食べる(オススメは朝食と昼食の食後のデザートとしてとること)

・調味料の使いすぎには注意する

 

「エネルギーコントロール」と「緩やかな糖質制限」では、食事療法の特徴が異なるので、同じ食品でも設定する量を変えています。

「緩やかな糖質制限」の食事療法の詳細については、次回以降に紹介していきたいと思います。

最後まで読んで頂き有難うございました。

“糖尿病の治療ではどちらの食事療法を選ぶ?「エネルギーコントロール」それとも「緩やかな糖質制限」?〜エネルギーコントロール編〜” への1件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です