糖尿病の治療ではどちらの食事療法を選ぶ?「エネルギーコントロール」それとも「緩やかな糖質制限」?

管理栄養士/日本糖尿病療養指導士の高橋美知代です。

私が普段勤務しているところは千葉県の糖尿病専門クリニックですが、東京都に近いので東京から通っている患者さんも多くいらっしゃるようなところです。

糖尿病の他に、脂質異常症、肥満、高血圧症、痛風・高尿酸血症、甲状腺機能亢進症・低下症、腎臓病、そして貧血などに対しての治療を行なっているので、そのような患者さんを対象とした栄養相談を実施しております。

糖尿病の治療がメインですが、糖尿病に他の疾患を合併している患者さんも多くいらっしゃいます。

栄養相談でも糖尿病の食事療法(ダイエット)を基本としながら、それぞれの疾患にも対応する食事療法を行なっております。

 

糖尿病の治療では血糖値だけでなく、中性脂肪やコレステロール、体重、そして血圧などのコントロールも重要です。

食事療法、運動療法が治療の基本で、効果が得られない場合に薬物療法が行われているわけですが、 皆さんは「糖尿病の食事療法」と聞くとどのようなことを想像しますか?

ラーメンを食べてはいけない、肉を食べてはいけない、揚げ物を食べてはいけない、ハンバーガーを食べてはいけない、ケーキを食べてはいけない、アイスを食べてはいけない、お酒を飲んではいけない、夜遅くに飲食してはいけない…などなど。

上記のように、あれも食べてはいけない、これも食べてはいけないと禁止ばかりされるようなことですか?
このように一方的に禁止されることばかりでは、食事療法の継続は難しいかと思います。
(最初のうちは、結果は良くなるでしょうが…)

また、ストレスが溜まるほど我慢して禁止事項を守れたとしても、いつかは我慢できなくなって大爆発してしまうケースがよくみられます。

減量をしている人が途中でリバウンドしてしまうのは、かなり無理をした状態で自分自身を追い込んでしまった結果だと思います(頑張り過ぎてしまったのですね)。

つまり、食事療法を長続きさせるためは、患者さんに無理をさせて精神的・肉体的に追い込むような内容ではいけないということです。

 

そもそも、「食べてはいけない物」というものは存在しません。
(薬に影響する物や、食べたら命を失ってしまう物などは別ですが…)

私の栄養相談では、禁止にするようなことは滅多にありません。

ラーメン、肉、揚げ物、そしてハンバーガーも食べてもらっています(それでも血糖コントロールは改善するし、体重も減少します)。

ただし、どんな物にも「適量」というものがあります。
その「適量」を適切な「時間」や「頻度」で、「食べ合わせ」そして「食べる順序」を気にかけて頂ければ、どんな物を食べてもらっても構わないと私は思っています。

もちろん、甘いお菓子も食べてもらっています。

さすがに、HbA1cが2桁まで上昇している患者さんには、ある程度数値が下がるまで甘い物をひかえてもらってはいますが…
(高血糖の状態をなるべく早めに改善したいため)。

 

当クリニックでは、糖尿病食事療法の基本である「エネルギーコントロール」での食事療法を実施していますが、数年前からは「緩やかな糖質制限」での食事療法も取り入れています。

 

エネルギーコントロールは、ご飯、パンそして麺などの主食(糖質の多く含まれる食物)が好きな人に向いています。なぜかと言うと、主食量をある程度確保できるからです。

 

緩やかな糖質制限はその逆で、上記のような食物にそこまで執着のない人に向いています。なぜかと言うと、エネルギーコントロールに比べて主食量を少なくするからです。

 

私は、どちらの食事療法を選択してもいいと思います。

決してどちらか一つが正解というわけではなく、どちらも正解だからです。

 

そのため、どちらの食事療法を実施するかは、患者さんと相談して決めています(事前に記入してもらった食習慣アンケートや食事記録を参考にして)。

私ができるのはアドバイスと応援で、食事療法を実際にやるのは患者さん自身ですから…。

 

「エネルギーコントロール」と「緩やかな糖質制限」では、食事療法の特徴が異なるので、設定する食品の量を変えています。

共通していることは「ベジファースト」で、下記のような順序で料理を食べることです。

野菜→たんぱく源→主食

最初に野菜、きのこ、海藻、こんにゃくなど、次に肉、魚介、卵、大豆製品、チーズなど、そして最後にご飯、パン、麺、芋、南瓜、トウモロコシなど糖質を多く含む食品を食べることを推奨しております。

 

この「ベジファースト」を取り入れるだけでも、血糖コントロールが改善しやすいです(食後高血糖を抑制してくれるため)。

 

食事療法を何から取り組んで良いかわからないという人は、まずは「ベジファースト」から実践してみてはいかがでしょうか。

 

「エネルギーコントロール」と「緩やかな糖質制限」それぞれの食事療法の詳細については、次回以降に紹介していきたいと思います。

最後まで読んで頂き有難うございました。